喉笛の塔はダミ声で歌う

第32話 意見の相違

 コルティスが驚きに目を見開いた。

「〈喉笛の塔〉の〈喉笛〉を?」
「うん」
「全部、返すの? ホロロ族に?」
「そう」

 コルティスは絶句し、しかしすぐに顎に手をあてがい、両足を落ち着きなくゆすりはじめる。
 オースターはつづける。
「〈喉笛〉がないと困るは、僕らだ。電気がないと困るのは、僕らだ。僕たちはホロロ族にお願いしなきゃいけない。〈喉笛〉を貸してください、正当な対価は支払いますって。でも、僕たちはすでに〈喉笛〉を手に入れている。お願いする必要はないし、対価を払う必要もないし、不当な立場に置かれたホロロ族のことを真剣に考える必要もない。
 だから、〈喉笛〉を返すんだ。僕たちとホロロ族の関係を対等なものにするために。互いに欲するもののために、対等な立場で話しあうために。その交渉のテーブルを、僕が用意する」
 コルティスは足をゆするのをやめて、独り言のようにつぶやいた。
「〈喉笛〉を貸してくれと頼む。貸すことを望んだ者には、対価を払う。それは物でもいいし、土地でもいい、現金でもいい。話しあって、互いに納得できるようにする……」
 オースターはうなずく。
「もちろん、貸し借り以外にもっといい方法があるなら、それも考えるよ。なんにしたって、僕らとホロロ族とがいっしょに考えていかなくちゃ」
 牢獄のなかで泣きさけんだトマの姿が、脳裏に浮かびあがった。

『おれの望みは、奪われた〈喉笛〉を取りかえすことだ。あれは、おれの魂だ。歌はホロロ族の魂だ。返せ、おれの魂を!』

 トマはきっと、〈喉笛〉を取りかえしたあとのことまでは考えていない。「家畜」として生きつづけることに耐えられなくなって、自暴自棄になってしまっている。自分自身のその後のことや、ほかのホロロ族がどうなるかまでは考えられていない。
 トマは考える必要がある。
 ホロロ族全員が、考えなくてはならない。
 自分たちが本当に願うものがなんなのかを。

(いっしょに考える。トマと。トマの未来のことを。たとえ、君がそれを望んでいなくても)

「ぼくは賛成するよ、さっきも言ったけど。考えは変わらない。でも……」
 薄暗い教室のなかにいるせいか、コルティスの顔は青ざめて見えた。
「どうやって? 〈喉笛〉をホロロ族に返しましょう、なんて言って、だれが賛同してくれる? こんなこと、元老院だの大公殿下だののお偉方に提案しただけでも君……」
 そのまま言葉をなくすコルティスに、オースターは表情をやわらげた。
 真っ先にオースターの立場を心配してくれたのだ、この優しい友は。
「そうだね、きっと賛同してはいただけないだろう。それどころか真剣にも聞いてくださらない。だからこそ、彼らから〈喉笛〉をとりあげる必要があるんだ」
「とりあげる……って、まさか、盗もうっていうの!?」
 すっとんきょうな声をあげられ、オースターはあわてふためいた。
「そこまで飛び火して考えてはいないよ! まだ具体的にはなにも考えていないんだ。というか、それをいっしょに考えてほしくて」
「〈喉笛〉をどうやって盗みだすかを!?」
「盗むって発想から離れてくれないかなあ!?」
 コルティスはせわしなく眼鏡のブリッジを上下させる。
「でも、盗む以外の方法ってなにかあるかい? バクレイユ博士を脅迫して、博士に〈喉笛〉を盗みださせるとか?」
「それ、けっきょく盗んでるよ!」
「でもさあ!」
 オースターは手をあげて、コルティスの言葉を封じる。
「盗むなんて真似したら、ホロロ族の立場が悪くなるだけだよ。僕が望むのは、あくまで対等な関係だ。犯罪者と被害者じゃ、対等とは言えないよ」
 コルティスは長いこと唸ってから、首を横に振った。
「いいや、オースター。大公殿下や元老院の賛同を得ずに、ホロロ族に〈喉笛〉を返すってことは、平たく言って『盗む』ってことだよ。手段を変えたところで、『盗む』ことに変わりはない」
 オースターは目を見張った。
「……たしかに、コルティスの言うとおりだ」
 自分がやろうとしていることは、盗み以外のなにものでもない。
 ――そう、盗むのだ。〈喉笛〉を。ランファルドの民の手から。
 オースターはごくりと息を飲み、うなずく。
「わかった。僕に覚悟が足りなかったみたいだ。考えを改めるよ。……僕は〈喉笛〉を盗みだす。具体的に、その手立てを考えたい」
 改めてそう告げると、コルティスが驚いたように顔をあげた。
 オースターは虚空を見つめ、これまでに得た情報を思いかえす。

「〈喉笛〉はすくなくとも百個はあるはずなんだ。もしかしたら、五百個近いかもしれない」

 喉から取りだしたそれは、鉱物のような形状をしているという。
 大きさはわからないが、喉におさまる程度のものなら、小石大がせいぜいだろう。
 塔にあるのは、死んだ仲間のものだという〈喉笛〉と、生きているホロロ族の喉から抜きとった〈喉笛〉の二種類。
 ランファルドにたどりついたホロロ族の人数は、およそ二百人。その後、生まれた子供はどれほどの人数がいるだろう。
 もし、首輪の番号が単純にホロロ族の人数を示しているなら、ルゥはたしか五百番台の首輪をつけていたから、全体で五百人。死者の〈喉笛〉にも識別番号が振られていると仮定しても、さすがに多い気がするから、一番最初の数字は、〈養殖物〉や〈天然物〉、ランファルド生まれ、といった分類番号である可能性もある。

「最低でも、三百個近い〈喉笛〉があると見ておいたほうがいい。それを持ちはこぶのに、どれだけの労力が必要になるか……」

 重さもわからない。空気のように軽いのか、それとも唸るほどに重いのか。
 それらを袋に詰めて抱えて逃げる自分の姿を想像し、オースターは宙に足が浮いたような気持ちになる。
 そんな大それたことをする自分が、まだ想像できなかった。

「〈喉笛の塔〉監視所の職場体験学習を希望したのは、塔の内部がどうなっているのかを、自分の目で確かめたかったからなんだ。〈喉笛〉が、塔のどこに、どういう状態でおさめられているのかを知っておきたくて。盗む手立てを考えるにしたって、まずはそれを知っておかないことには……コルティス?」
 相槌すらないので振りかえると、コルティスが言葉をなくしたまま凍りついていた。
「罪に問われるよ、オースター」
 ふいに、コルティスが言った。
 色を失った唇を開き、簡潔な言葉で。
「ちゃんとわかって言ってる? 下手すりゃ死罪だ」
 真っ直ぐな言葉は、刃のように胸に突き刺さった。
「わかってるよ。でも、やらなくちゃ」
「どうして……」
 コルティスはわずかに身を引いた。
 たしかに知っていたはずの友が、とつぜん赤の他人になったとでも言うかのように、途方に暮れた顔をする。
「なんで、そこまで……」
 なぜ、そこまで。
 オースターは鈍く痛みつづける下腹に手をやった。
「それは……」

「〈喉笛〉を返すってことはつまり、ランファルドがふたたび資源喪失の危機に見舞われるってことだ」

 扉を開く音とともに、コルティスのものではない声がした。
 はっと振りかえると、ジプシールとオルグが怖い顔で立っていた。



「医務室に行くっていうから、心配でついてきてみれば……いったいなんの話だ。ふたりとも」
 ジプシールはオルグとともに教室に入ると、乱暴に扉を閉めた。
「盗み聞きしていたの?」
 非難すると、ジプシールはいらだった様子で手近な机に手を置いた。
「ああ。だが、盗人のまねごとをするつもりでいる、ばかな親戚を前に、盗み聞きを詫びるつもりはないぞ」
「ぜんぶは聞こえてないよ? ところどころ、よく聞きとれなかったもん。でもほら、この校舎、ずいぶん古いから。壁にも隙間がいっぱいあるんだ」
 オルグが言いわけするように言う。
 ジプシールが額を手で押さえ、深々とため息をついた。
「最初は発熱でもして、妄想につかれでもしたのかと思ったが……いいや、今でもそうであってほしいと思ってはいるが」
「あの塔が人間の喉笛で動いてるって、本当に? 気持ち悪いよう」
 半信半疑の面もちで、ふたりは口々に言う。
 オースターは動揺を鎮め、胸のうちで決意を固めた。
(ふたりを味方に引き入れられないようじゃ、ここから先の成功はない)
 深呼吸を小さくし、椅子から立ちあがる。

「僕はホロロ族に〈喉笛〉を返す。資源を手にいれるためには、ホロロ族と交渉しなくちゃいけない。ジプシールはどう考える?」

 意見を聞かせてくれ。いっしょに話しあいの場に立ってくれ。暗にそう告げるが、ジプシールは失望したように目を細めた。
「おまえは昔、資源を失いかけたとき、国内がどれほど荒れたか覚えていないのか」
 暴動が起きた。誤った情報が錯綜し、先行きのわからぬ不安感から衝突が起き、多くの血が流れた。
 オースターがランファルド市に移住したのは〈喉笛の塔〉の建造がはじまってからのことだが、それでも当時の混乱を知らないわけではない。
 ジプシールだってそれはわかっているはずだが、それをわざわざ指摘されたことにオースターはショックを受けた。
「ジプシールは、〈喉笛〉を返すべきではないと思っているんだね?」
 冷静に問うたつもりだが、実際には声に非難の色がにじんでしまった。
 説得どころか、弁論術がまるでなっていない自分を責めるが、もう遅い。案の定、教室内の空気がぴんと張りつめた。
「ホロロ族に同情する気持ちはわかる。職場体験学習で心を通わせた結果なのだろう。だが、オースターは公爵家の人間として、次期大公として、まず自国の民のことを考えるべきだ」
「僕は――そもそもその考えを改める必要があると思う。ホロロ族は、すでに立派なランファルドの民だ。この国のためにその身を犠牲にしている、我が国の民だ」
「詭弁はよせ。彼らはアモンからの難民であり、アモンの民だ」

「それに、アモンは仇敵だよ」

 ジプシールの言葉にかぶせるように、オルグが低い声で言った。
「ランファルドの民だなんて絶対に認めない。オースターだって知っているでしょう? 僕の叔父上は、アモンの兵士に魔法の火で焼かれて、苦しみながら死んだ。大好きだった従兄は片足をなくして、いまでも悪夢にうなされてる。オースターの父上だって、アモンに殺されたはずだよ」
 ふだんはのんびりしたオルグの強い口調に、オースターは言葉を失いながら、なんとか自分をふるいたたせる。
「彼らはアモンの民だけど、アモンの貴族たちに虐げられてきたんだ。奴隷だったんだよ」
「魔法を使うんでしょ? ならいっしょだ。アモンの民なんかに、誰が頭をさげるもんか。アモンがこの国の地下に住んでるっていうだけでもいやだ。そんなことを許した大公殿下にもがっかりだ!」
「オルグ!」
 ジプシールは顔色を変えて、オルグを鋭く制した。
 オルグはびくりとし、よろめくように一、二歩と後ずさった。先ほどまでの自分の激しい言葉に傷ついた様子でうなだれる。
 ジプシールはため息をつき、小さい声でつづけた。
「資源がなくなったら、我が一族が経営する工場は閉鎖に追いこまれ、多くの従業員が路頭に迷うことになる。俺は三男だが、カルデ伯爵家の存続を考える義務はあるんだ。〈汚染〉で領地も領民を失ったおまえには、もう守るものはないのだろうが、俺にきれいごとを言う余裕はない」
 オースターは顔を強張らせ、かぶりを振る。
「たしかにアラングリモ家は領地も領民も失った。爵位すらなくしたよ。でも、誇りまでは失っていない」
「なるほど、そうか。アモンの民を救い、自国の民に犠牲を強いることが、アラングリモ公爵家の誇りというわけか」
 自棄を起こしたようにジプシールが吐き捨てる。
「さっきルピィ・ドファールの話をしていたな。あいつはこのことを知っていて放っておいていると。今回に関してだけは、ルピィに賛同する。あいつのほうが、おまえよりもよほどわかっている。ランファルドは電力を失えば、今度こそ滅びる」
「そうしないために、ホロロ族と交渉をするんだ」
「その交渉とやらがうまくいかなかったらどうする。滅びを甘んじて受け入れるのか? それともホロロ族から〈喉笛〉を力ずくで奪いとるか!」
「ジプシール。熱くなりすぎだ。すこし落ち着いて――」
 仲裁に入りかけたコルティスを手で止めて、オースターはジプシールを見上げる。
 カルデ伯爵家は、領地を失い、ランファルド市に移住してきたオースターと母のために、なにかと便宜を図ってきてくれた。ジプシールはそうした遠戚関係をさらに超え、いつもオースターの頼れる友でいてくれた。
 そのジプシールが、これまで見たことがないほど険しい表情を浮かべている。
 真剣に考えてくれているのだ。ばかな親戚の愚かな妄言だと一笑に付すことだってできるのに、まじめに考え、オースターを心から叱咤してくれている。
「……ありがとう、ジプシール」
 ジプシールは毒気を抜かれたように、頬をひきつらせた。
 オースターは今度はオルグに顔を向けた。
「オルグは? ジプシールと同じ考え?」
 オルグは先ほどの自分が発した過激な発言にまだ動揺しているようで、もごもごと言いわけするように言った。
「ぼくは……よくわかんない。でも、燃料が木炭だった時代に戻るのはいやだなって思う。僕は太っちょだから、電気自動車とか、鉄道とかがなくなったらと思うとぞっとするよ。君の家や、ジプシールの家は、いまだに馬車使ってるし、辻馬車も根強く残ってるけど、前時代的だと思うなあ、あれ」
〈喉笛の塔〉が建造されてから、バクレイユ博士は電気の普及率を一気に押しあげた。交通網の多くは電力を頼り、アラングリモ家の計画農産地でつくられた食料の輸送にも電気が使われている。
 ジプシールがどこか疲れたように言った。
「人や物資の輸送だけじゃない。俺たちが日常的につかう品々も、いまや電気仕掛けの機械が製造している。新聞ですら手刷りのとこなどもうない。下水道にだって電気は使われていただろう? オースター」
「うん。下水道は勾配を利用して、自然の力で下水を河川まで運んでるから、基本的には電気は使っていないけど、上水道のほうは電化が進んでいるみたいだ。ううん、僕が知らないだけで、下水道でもいろいろな場面で電気が使われていると思う」
「電気がなければ生きていけない、とは言わない。だが、今さら便利な生活を捨てろと言われても、民は納得はすまい」
「そうだね……」
 けれど、今でさえこれほど電力に頼っているなら、さらに十年後、ランファルドはもっと多くの電力を欲するようになっているのではないだろうか。
 ホロロ族に対する要求はいや増し、「奴隷」から「家畜」になった彼らは、十年後にはいったいどれほど都合のよい生物に変えられていることだろう。
「それでも、僕はあくまで〈喉笛〉をホロロ族に返すつもりだ」
「オースター、おまえはどこまで――」
「ジプシール。僕は下水道でルゥという小さな女の子と知りあったよ」
「……だからどうした。今度は幼子の話でもして、同情を誘おうって魂胆か?」
「そのとおりだよ、ジプシール」
 はっきりと認めると、ジプシールがにわかにたじろいだ。
「君は家族思いで、友達思いだ。さっきも僕の怪我を心配して、みんなが僕を乱暴に扱わないよう気遣ってくれた。君は優しい。僕なんかよりもよほど。……ひとたびルゥと会って、あの無垢な笑顔を見たら、君はもうあの子を見殺しにできなくなる。
 会ってみてほしい。会って、そのうえでもう一度、君の考えを聞かせて。あくまで考えが変わらないというなら、言ってくれ、『自分はこれからも幼い少女の笑顔を踏みにじりながら生きていくんだ』と。覚悟を決めてくれ、自分のなかに幼い少女を飼い殺しにする残忍さを持つ、その覚悟を」
 ジプシールが苦しげに顔をゆがめた。
「ルゥは七歳で喉を裂かれて、声を失った。もう笑い声をあげることもできない。笑い声を奪ったのは、僕であり、君なんだ」
 オースターはオルグにも目をやって言う。
「地下から連れてくるから。君たちのところに連れていく。本当にあのひとたちは仇敵か、〈喉笛〉を生みだすだけの家畜か。自分の目で見て、改めて考えてみて」
 オルグはむっと頬をふくらませて、なにも言わなかった。ジプシールは沈鬱な表情を浮かべ、重々しく口を閉ざす。
 どちらも「わかった」とは言わぬまま、終業の鐘が鳴った。
「……教室に戻る。医務室には本当に行っておけよ、ふたりとも」
 ジプシールとオルグはおざなりに言って、のろのろと椅子から立ちあがった。教室の扉を開けて、背中を丸めて出ていく。

 ふたたび教室が静まりかえると、オースターはうなだれた。
 ふたりを責めたいわけではなかった。自分もふたりと同じなのだ。ふたりに強い言葉を投げかけるのは、自分自身に刃物を突き刺すのと同じぐらいに辛かった。自分のなかにだって、幼子を切り捨てる残忍さを飼う覚悟などないというのに。

「それでも、考えは変わらないんだね?」

 ずっと黙ったままでいたコルティスが言った。
「コルティス、君は変えてもいいよ。僕につきあって、危険な目にあう必要はない」
「ひとつ、聞いていい?」
 コルティスは食い入るようにオースターを見つめた。
「どうしてそこまでしようって思ったの? 罪に問われるかもしれないとわかってて、ここまでしようと思った理由はなに?」
 オースターは顔をこわばらせた。
「僕は……知らないうちに、みんなを傷つけてきた。ううん、知ろうと思えば、いつだって知ることができたのに、ずっと目をそらしてきたんだ」
 ルピィのこと。ラジェのこと。トマのこと。ホロロ族のこと。
 そして、オースターがつきつづけている「嘘」を知れば、きっとこの優しい友コルティスもまた深く傷つくことだろう。
「もう、目をそらしたくない」
 絞りだすように言うと、コルティスは困惑したようにオースターを見つめた。
「傷つけてきたって……なにを?」
 オースターは答えられずに身を固くする。
 コルティスはなおも問いを重ねようとして口を開き、けれど、けっきょく言葉を呑んで、どこか寂しげにオースターを見つめた。
「ねえ、オースター。もし、ぼくが国家の存亡にかかわることで困ってたら、トマ君のことみたいに、ぼくのことも助けてくれる?」
「なに言っているんだよ。そんなの当たり前だろう?」
「そっか。なら……まあ、いっか」
 コルティスはふっと笑った。
「君の職場体験学習って、もう今日から開始なんだっけ? さっそく具体的な作戦をたてなくちゃね。せっかく授業をサボったんだから、時間は有効利用しないと」
 オースターはなにも聞かずに流してくれたコルティスを見つめ、大きくうなずいた。

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