海賊バクスクラッシャーが抱える歴史や世界、また補足として海賊船バックロー号について、簡単にご紹介しています。
歴史に関しては、基本的には、下記「序文」に書かれている内容だけでも十分に物語を把握できます。
バクスクラッシャーの船員のほとんどは、「バクス帝国」の出身者です。
帝国は15年前、侵略目的で「ノーク国」へ海戦を仕掛けました。その際、帝国が作ったのが「公的海賊」と呼ばれる組織です。
公的海賊。それは、徴兵された一般市民と本物の海賊から成る、海賊軍人のこと。
彼らにノーク国の貿易船を襲わせることで、相手の力を衰退させようとしたのです。
その戦法は成功し、帝国は勝利を収めますが、戦後、働き口を失った一部の公的海賊が暴走。主君である帝国を襲撃するという事件が起きてしまいます。
帝国は激怒し、「公的海賊討伐令」を発布。これにより、多くの公的海賊が処刑されました。
そして一部の公的海賊は、祖国を後にし、世界中の海へと逃亡してゆきました。
バクスクラッシャーは、そうした祖国を追われた海賊のひとつなのです。
信じていた祖国に裏切られたバクスクラッシャーは、絶望を抱えながら、逃亡を続けていましたが、ある日、船にたまたま乗せた女性が、船底に我が子を置き去りにしてゆきました。
海賊は子供を「ラギルニット」と名付け、大切に育てました。
子供の無垢な笑顔は、海賊たちの心の支えとなり、ついには世にも稀な少年船長が誕生するのです。
世界の中央に位置する巨大な大陸フェクヘーラ。
ダヴィスカー大洋を抱くように、弓形に反れた大陸。
その西にある半島(茶色く塗った国)が、バクス帝国である。
新暦983年。
フェクヘーラ大陸の西南と東南に位置する、タネキア・ケナテラのニ大陸。その二つの大陸に最も近い、フェクヘーラ最南端の国家を「ノーク」という(線を引いた国)。
バクス帝国はノーク国を、二大陸への侵略の中継地点にするため、従属国家にすることを企んだ。
しかしバクス帝国の「服従せよ」という一方的な勧告を、ノーク国は無視し続けた。
勧告から一年後──バクス帝国、ノークへ海上から侵略を開始。
開戦当時、世界諸国は「巨大軍事帝国」として名高いバクス帝国の圧倒的な勝利を予期していた。
しかしバクス帝国に危機感を抱いたタネキア・ケナテラ大陸の国々が、ノークへ軍事・物資援助を開始。
それによりノークは、バクス帝国海軍を予想以上の力でもって立ち向かう。帝国は思わぬ苦戦を強いられることとなる。
そんな折、ノーク近隣の海域を根城としていた海賊が、ノークと援助国とを行き交う軍事援助船を襲う、という事件が起きた。
それにより、援助によって力を得ていたノークは、一時大幅に戦力を弱めた。
バクス帝国はその事件に目をつけた。
「援助船を襲う」という行為は、非常に有効な戦略であるのと同時に、「最悪の卑劣行為」として、暗黙の内に各国が禁じ手としている行為だった。
しかしバクス帝国は、ある秘策を用い、その卑劣な行為を戦略として用いることを決定。
もしバクス帝国海軍が敵国の援助船を襲えば、世界的非難を受けるのは必至。
そこで帝国は、帝国にとっても厄介な存在であった海賊たちに、密かに「ノークへの援助船のみを襲うことを公認する。
働きの大きい者には、戦利品以外にも、バクス帝国より褒美を与える」という書状を送った。
援助船を襲ったのは海賊、我々帝国海軍は一切関わりなし、それがバクス帝国の考え出した秘策であった。
これが後世にまで悪名を残す「公的海賊」──公に認められた海賊の始まりである。
数十の海賊がこの書状を受け、ノークへの援助船を襲い始めた。
海賊を用いた戦略は見事に成果を上げ、戦況はバクス帝国に優位に傾き始めた。
そしてこの頃、海賊の力が帝国海軍よりも勝っていることに、帝国は気づき始める。
そこでバクス帝国は、他国に知られぬよう、国内へ向けて「ある触れ」を発布した。
それは一般国民へ向けての触れで「公的海賊制度施行。英雄になりたいもの、集え」といった内容のものであった。
公的海賊制度。
それは、公的海賊の原点となった「ノークの援助船を襲うことを、帝国によって公認された海賊」の幹部を船長や副船長に据え、その下に触れを見て集まった国民志願兵を配し、新たに海賊を編成するという制度であった。
狙いは、戦略的に大いに役立つ海賊を、もっと増すことにあった。
同時に、いつか帝国自身にとっても脅威と成り得る海賊の力を、帝国民に引き継がせておくことで、後々の脅威への対抗力をあらかじめ手に入れておくという狙いもあった。
海賊と帝国民の混合軍。
これが公的海賊制度により誕生した、新しい海軍の形。
海賊軍人「公的海賊」の成立であった。
新暦988年。
2年に渡ったバクス帝国とノーク国の海上戦争は終結。バクス帝国の勝利であった。
バクス帝国は活躍のあった公的海賊に、海軍の幹部の座を与えたり、賞金を与えたりしと、大きな報酬を与えた。
海賊たちは英雄とたたえられ、国民から大きな賞賛を浴びる。
そして戦争は終わり、公的海賊制度は発布と同様、秘密裏に廃止された。
しかし一年後。
与えられた報酬を使いきった一部の元公的海賊たちが、今度はバクス帝国の船や沿岸の町村を襲い始める。
帝国は何とか事態を収拾しようとするが、海軍との戦い方を覚え、一層強力となった海賊は予想をはるかに越えて手強く、反対に海軍が壊滅の危機へと追い込まれた。
そしてバクス帝国は、怒りにまかせ、早まった対策を打った。
新暦989年。
「海賊壊滅令」、秘密裏に発令。
ある日の深夜のこと。
帝国軍は、元公的海賊の一斉捕獲にかかる。
その対象は、公的海賊であった人間全てで、海賊行為を行った者たちだけでなく、戦後は普通の生活に戻っていた国民までが含まれた、無差別的な捕獲であった。
捕獲された者の一部は投獄されたが、その他の大半は、怒りに我を忘れた海軍兵によって私刑、あるいは政府黙認の公開処刑にされた。
捕獲の手を逃れた元公的海賊たちもいた。
彼らは海へと逃げた。追撃してくる海軍の手を逃れ、逃亡の海路へと乗り出した。
こうして元公的海賊たちは世界の海に四散し、バクス帝国に、また各国の海軍に海賊として追われることとなる。
そしてバクス帝国は、莫大な数の海賊を作り出した国として、世界的に非難を浴び、その権威を失墜する。
「公的海賊制度」が施行されると、海賊を幹部に置いた公的海賊が数多く誕生した。
数多く誕生した公的海賊の中に、元海賊ジルサン=バリー率いる「バクスクラッシャー(バクスからの破壊者という意味)」があった。
ジルサン船長の下には、現在のバクスクラッシャーの主要船員である、ホーバーやクロル、シャークなどを含める60名の国民志願兵が集まった。
船の名は「バックロー」。大型木造帆船である。
また、ジルサン船長は一体何が気にいったのか、水夫でしかなかった少年ホーバーを、副船長に任命。
バクスクラッシャーはジルサン船長と、ホーバー副船長によって、運営されることとなる。
バクスクラッシャーは数々の海戦で大きな活躍を果たし、戦後は大英雄として称えられた。
中でもジルサン船長はその力量を認められ、海軍指揮官の地位を与えられることになる。
しかし戦後一年後、海賊壊滅令が発令。
帝国軍による公的海賊一斉捕獲は、もちろんバクスクラッシャーにも及んだ。
バクスクラッシャーの内半数は捕獲され、残りの半数は捕獲の手を逃れて、海へと逃亡を果たした。
バクスクラッシャーは帝国から追われる身となり、長い間海上を漂流することとなる。
戦後、海軍指揮官になったジルサン船長は、その中にはいなかった。
彼のかわりに船を支えたのが、副船長ホーバーだった。
国を逃げ出すことのできた船員は30名にも満たず、また怪我や病気、飢餓、あるいは国に帰れぬという絶望から正気を失うなどで、動ける船員たちはさらにわずかであった。
向かう先も分からず、船を操る船員も不足し、食料や薬も底を尽き、しかし陸に上がることも出来ず…。
バクスクラッシャーは絶望の淵に立たされた。
しかしその状況を打開したのが、ホーバー副船長だった。
奇抜で多用な方法を使い、食料や薬を手に入れ、うなだれる船員たちを叱咤した。
そしていつしか彼らは少しずつ気力を取り戻し、再び立ち上がった。
いつか必ずバクス帝国に戻ることを誓い合い、バクスクラッシャーは「生き抜く」道を選んだ。
船員たちは、「バクスクラッシャー」の名前が持つ意味「バクスからの破壊者」を、「バクスを破壊する者」と改めた。
新生バクスクラッシャーの誕生である。
漂流の危機を乗り越えたバクスクラッシャーは、情報収集に奔走し、得た情報を元に針路を決定し、海軍の手から逃れ続けた。正体を隠し、陸地にも下りるようになる。
その間、彼らはログゼやミンリー、ヴェス、ウグド、ファーなど、逃げ延びた他の公的海賊たちや、下りた地で知り合った者たちなど、新たに多くの仲間を得ることになる。
逃亡から一年後の新暦990年、バクスクラッシャーは世界北西にあるトゥーダ大陸へと針路を向ける。
トゥーダ大陸の港町に停泊中、バックロー号に、一人の女性と護衛らしき二人の男が訪ねてきて、「金は幾らでも払うから乗せてほしい」と言ってきた。
金の工面に困っていたバクスクラッシャーは、躊躇いながらも女たちを船に乗せてやる。
三日後、適当なところで下ろすよう言われ、女たちを下船させる。
──その日の昼、船倉に下りた船員は、赤ん坊の泣き声を聞いた。
探してみると、林檎の樽の中に、一人の赤ん坊がいた。その胸元には一枚の手紙。
「この子をよろしくお願いします」と。
以来、赤ん坊は「ラギルニット」と呼ばれ、船員たちに育てられることとなる。
ラギルニットの無邪気な笑顔は、彼らの希望となった。
新暦993年。
バクスクラッシャーに、最大の危機が訪れる。
ダヴィスカー大洋にて、バクス帝国海軍三隻と遭遇。
バクスクラッシャーは逃亡を試みるが失敗。圧倒的な数の差に、彼らは必死の攻防をするものの、窮地に追い込まれる。
長い戦いの末、海軍一隻を撃沈。しかしバクスクラッシャーにも、残り二隻と戦う余力は残っていなかった。
その時、一隻の大型帆船が戦闘海域に侵入してきた。その船旗は海賊旗。
突然現れた海賊は、海軍を凄まじい速さと力で攻め、ついには水平線の彼方へと追いやった。バクスクラッシャーは間一髪で、危機を逃れることとなる。
しかしそれは、救いの手ではなかった。
海賊「イリータイン」。
かつてバクス帝国で公的海賊として戦い、戦後、バクス帝国に対して略奪行為を繰り返して、何千というバクス帝国民を殺した、残忍な海賊たちであった。
彼らは海軍から救ってやったのだから、褒美を与えろと要求した。その要求は、イリータインと合併し、従属を誓えというものであった。
彼らはそれに従った。
ラギルニットを人質にされたがために。
海賊イリータインに、合併吸収されたバクスクラッシャー。
バクスクラッシャーの船員40名は、20名ずつに分割され、同時にイリータインの船員60名も30名ずつに分かれ、二船(バクスクラッシャーの船であるバックロー号、イリータインの船であるグルバラー号)に分乗させられた。
これによりそれぞれの船の中に、上位30名、下位20名の力関係が生まれることとなる。
バックロー号の船長には、イリータインの副船長キースが就く。副船長には、そのままホーバーが就くことを許された。
グルバラー号の船長には、イリータインの船長ハーロンが就く。副船長は、ホーバーにバクスクラッシャーの船員の中から選ぶ権利が与えられる。ホーバーは水夫長助手のレティクを選び、レティクが副船長に就いた。
そしてラギルニットは、タネキア大陸の孤島に下ろされることになる。
ラギルニットの世話には、バクスクラッシャーの50人のうち2~3名が、約ニ週間交替で当たることになった。
そして海賊イリータインは、「バクスクラッシャー」の名を気に入り、この二隻百名から成る新生海賊を「バクスクラッシャー」と称することにした。
それから五年後の、新暦997年。
小さかったラギルニットは、孤島で船員たちに育てられ、7歳になる。
その頃バクスクラッシャーは、ケナテラ大陸の一国「海明遼(カイメイリョウ)」の海域で、貿易船から民間船まで無差別に船を襲い、金品の強奪していた。
逆らう気配があれば、時には皆殺しにすることもあった。
それらの行為の汚い部分(死体処理や死体から衣類や金品を剥ぐなど)は、旧バクスクラッシャーの船員たちの仕事だった。
彼らはもはや旧イリータインの船員たちの、奴隷も同然であった。
そんなある日のこと。
突然船に姿を現したのは、孤島で暮らしているはずのラギルニットだった。ハーロン船長が、水夫の補充のために連れてきたのだ。
ラギルニットは、血みどろのバックロー号と、大切な、兄弟であり友達であり仲間であり親である船員たちが、生気を奪われた顔で死体の処理を行っている姿を、呆然と見つめた。
ラギルニットはその時初めて、自分を取り巻く状況の真実を知ったのだった。
悲しみに暮れ、船室に閉じこもるラギルニットは、そして決意した。
8月、ラギルニットは、旧イリータインに旧バクスクラッシャーを解放するよう要求。
同時にバクスクラッシャーは「誇りある海賊」を目指すことを宣言。
──戦いの末、ハーロン船長は、その解放要求を承諾した。
海賊バクスクラッシャーは再び、バクスクラッシャー、イリータインに分離。別々の海路を進むことになる。
分離の際、ハーロン船長がイリータインを離れ、再形成されたバクスクラッシャーの仲間に加わった。
ハーロン船長は、かつてはラギルニット同様「誇りある海賊」を目指した男だった。
彼は綺麗事だけではすまない、厳しい現実を前に夢を諦めたが、ラギルニットの強い意志の元で、もう一度夢を見てみたいとイリータインを脱する決意をした。
彼はバクスクラッシャーの船長として迎えられる。
しかしわずか一年後、病気によりハーロン船長が死亡。
「誇りある海賊を目指すのは難しい。しかしラギル、私のように諦めてはならない」その言葉を残し、ハーロンは帰らぬ人となった。
ハーロン船長が亡くなり、船長の座が空いた。
そこに担ぎ出されたのが、反乱を起こす勇気をくれた彼らの子供、ラギルニットだった。
わずか8歳でしかなかったラギルニットだったが、全員一致で船長の座に就くことになる。
これ以後、バクスクラッシャーは「誇りある海賊」を目指して、世界中の海を航海。
殺さず、強奪せず。いつも笑っていられる生き方を目指し、
彼らは今も誇りあるその方法を探しつづけている。
いまだ、最果てを見た者のない無限の海に、五つの大陸がたゆたう。
西北の大陸を、トゥーダ。
西南の二大陸を、タネキア。
中央の巨大な大陸を、フェクヘーラ。
最東の大陸を、イリューザ。
南東の大陸を、ケナテラ。
そして五大陸の間に広がる大洋の間に、忽然と聳え立つ、四本の、天をも貫く巨大な柱。
人々はこの巨大な柱を、畏怖・畏敬を込め、「天の柱」と呼んだ。
常秋大陸とも謳われる、西北の大陸トゥーダ。
騎士道を重んじ、人力による技術を賞賛する。
そのため、神術や精霊術といったモノを忌み嫌う傾向にある。
他の四大陸と比較しても平均軍事力は追随を許さないが、その文化は典雅にして華麗、独特の哲学を貫いている。
二つの大島と無数の群島からなる、熱帯の大陸タネキア。
いまだ人の手のかからぬ熱帯の大自然が根付き、人々は自然とともに生きている。
そのため、人々の自然への信仰心、つまり「神」への信仰心は五大陸中でも随一とされ、その信心深い純朴で大らかな気質は、タネキア人に特有のものである。
自然の神秘性を敬い、感情豊かな民を有する、原生の大陸。
世界の中央に位置する大陸フェクヘーラ。
一年を通じて極寒の北部に対し、南部は温度落差の激しい四季を持つ。
文化は国家によってまさに多様。同じ大陸内でも全く統一性がなく、他の四大陸との混合文化とも言える形態がうかがえる。
こと中部は、一般的文明水準が平均して高く、常に世界の最先端をゆく。
世界の最東に位置する大陸イリューザ。
幻想大陸とも謳われる、世界でもっとも謎に包まれた大陸である。
一般説によれば、国家は存在せず、人々は部族ごとに秩序ある生活を営んでいるという。
他の大陸ではとうに失われた古い伝説や伝承の類が多く残り、世界中の冒険家や研究家を魅了している。
しかし足を踏み入れた者で、いまだ帰還していない者は少なくない。
世界の南東に位置する大陸ケナテラ。
明確な四季をもつ、千変万化の大陸である。
国々は、古来より「皇帝」により支配されてきた。
彼らは自らを「神の者」と名乗り、いまだ各地には謎に包まれた奇妙な風習が存在している。
また、国家としては、医学分野の研究進度、及び高位学校の教育レベルは五大陸一の水準を誇る。
しかしその一方、貧富格差が問題点となっている。
国家性質は非常に理知的で平和主義、外交は戦争よりも論戦を好むとされる。
フェクヘーラ大陸にある国々のひとつ。
世界有数の軍事帝国、バクス。
友好国には貿易を、非友好国には侵略・略奪をもって、国の財政を支えている。
友好国にとっては良い商売相手、小国にとっては危険きわまりない侵略者。
バクス帝国は、そんな二面性を持つ大国である。
巨大な岩山「デアモントロック」を中心に、国全体が高原地帯となっている。
寒暖の差が小さく、一年を通して、非常に過ごしやすい気候を有している。
言語は、世界三大言語のひとつ、「リスト語」を公用語とする。
海岸線は港を作るに適した形をしていて、三つの主要港以外にも、たくさんの港街が存在する。
強大な軍事力でもって他国を圧し、厳格な規律でもって国内を圧する、バリバリの軍事国家。
陸、海、空の各三軍師が「帝王」の位に就く、世界にも珍しく、三人の王が統べる国である。
陸、海軍ともに優れる。特に海軍の誇る「浮沈船建造」は他国の追従を許さない。
幻術、精霊術などの超自然的な力を嫌悪し、精霊の血が混じった者を弾圧する傾向にある。
しかし軍事に役立つというのなら、精霊術を軍に用いることは辞さない。
十四年前に起こしたノーク国との海戦の際、「公的海賊」と呼ばれる海賊を生み出し、また戦後、彼らを世界の海へと放ったため、国際社会から非難を浴びることに。
現在、「存在のしない国家」として国交を断たれている。
海軍は海戦時にこうむった痛手で半壊、国家を支えていた貿易も絶たれたため、バクス帝国はまさに存在していないかのような、影の薄い国家となりはてた。
海賊バクスクラッシャーの愛船。
三本マスト。縦帆と横帆を備える、大型木造帆船。
バクス帝国海軍が誇る、科学者ナンディレス一族が長年研究してきた「浮沈船」の、初期試行型。
バクス帝国がノーク国との海戦時、公的海賊に配給した船のひとつ。
未完ながら、一度海底に沈んでも、ほぼ原型のまま浮かんでこれる仕組み。
当時としては、浮沈船建造は「無謀な計画」とされており、公的海賊は体のよい実験体にさせられたようなものだった。
しかし帝国の予想を裏切り、建造は一応の成功を収め、公的海賊が世界へと逃亡した後、帝国は自ら作った浮沈船の技術に、苦しめられることになる。
後部には、ナンディレス家の長女であるメル博士が設置した、木造プロペラがついている。
消耗が激しいので、滅多には使えないが、使えば爆発的な初期推進力を得ることができる。
大型帆船にありながら、小型帆船を操る一般の海賊たちが武器とする「速さ」を、ほぼ同等に得ることが出来る。
バックローとは、バクス帝国古文書に登場する「帰還させし者」に由来する。