小説(長編小説)ラ・ク・リ・マ|NO.007 4



 広々とした倉庫には、すでに三十人ほどのファミリーたちが集合していた。
 壁際に階段状に積まれた木箱には、兄弟の序列どおり、上からビューティ、ジョニーの順で腰かけている。
「遅いぞ、ガイ」
 倉庫に入ってきたガイとウェイに気づくと、ビューティが一番低い木箱を親指で示した。
 ガイはそれを無視した。入り口そばの壁に背を預け、腕を組んでそっぽを向く。ビューティはこめかみに血管を浮きたたせ、ジョニーはげんなりと溜め息をついた。
 ウェイは倉庫内を見渡した。中古屋と武器商人は、ファミリーとは離れた場所に固まって立っていた。
 一瞬、そちらに行くべきか迷うが、中古屋たちのウェイを見る目は相変わらず厳しい。
 ウェイは嘆息し、仕方なしにガイの隣に立った。
「喧嘩?」
 ガイが不審そうにする。そういえばガイは、ウェイが入社面談で中古屋全員を敵に回したことを知らないのだ。
「……喧嘩、だな」
 仲間割れではないだろう。もともと「仲間」と呼びあう間柄ではなかった。
 ガイは鼻で笑った。
「無様だねえ」
「そっちは兄弟喧嘩か」
「まあね」
 無様だな、と返してやるよりも先に、ガイが「え?」と腕に抱いたミッキーの頭を撫でた。
「この間のことなら、ミッキーはもう気にしてないって? ……そう。なら、僕も許す。本当のことを言うと、僕もそこまで根に持ってるわけじゃないんだ。君の腕はどっかの中古屋が直してくれたことだしねえ」
 ぼそぼそとミッキーと会話をするガイ。どうやらミッキーの破損は、兄弟喧嘩のすえに起きたことらしい。
 それにしても――ウェイはなんとも言えない気分になる。ガイがあまりに自然と話しかけるせいで、ミッキーのくりくりした目にも意思が宿っているみたいに見えてくる。
「けど……」
 ふと、ガイが声を低くした。
 ウェイの無言の視線に気づいてか、ガイは顎で木箱の脇を示した。
「ウェイ。君、あの運転手をどう思う?」
 運転手? ウェイは首をかしげ、さりげなく顔をそちらに向ける。
 ファミリーと一線を画し、兄弟の座る木箱に近い場所で立っていたのは、赤と金のストライプスーツを着た男だ。
 見覚えがある。
 先日の入社面談でも見かけたが、思いだしたのはもっと前のことだ。
(アニーの酒場で会った男か)
 あれはいつのことだったか。以前、アニーの酒場でガイと遭遇したとき、ガイを追って、後から酒場に入って来た男だった。
(運転手ということは、赤いエアジェットの「運転手」か?)
 赤いエアジェットは、アルカトラズ監獄脱獄後のフレデリック・ファミリーを象徴する存在だ。兄弟は脱獄したあと、表世界でさんざん暴れまわり、やっと第三裏通りに帰還した。そのとき、兄弟を乗せていたのは赤いエアジェットだった。それだけではない。先日のクイーンズ・ボロ橋の爆破事件が起きたときにも、ウェイは赤いエアジェットを目撃している。その立ち位置からも、ファミリーのなかで重要な役割を担っていることが推測できる。
「どうと言われても、よく知らない」
「つまらない答えだ。実に君にふさわしい」
「……スーツがダサい」
 ガイはくつくつと笑う。
「悪くない」
「でも、仕立ては上質だ」
「ふぅん。……うん、まあまあの着眼点だ、中古屋。あれは表世界の人間だよ。どこかの財閥の御曹司って話だ」
 予想外の言葉に、ウェイは目を見開いた。
 表世界に生きる住民が、裏世界に興味を持つことはまれだ。まして、犯罪一味の仲間となり、その抗争に手を貸すなど聞いたこともない。
 不信感が顔に出たのか、ガイは物騒に微笑みを深めた。
「君がまともな神経の持ち主で安心したよ。僕はあの男が嫌いだ。僕らに近づいてきた目的もなんにも分かっていないからねえ。なのに、兄さんもジョニーもいつの間にかすっかりあいつを信頼している。信頼に足る根拠なんて、僕らの脱獄を成功させた……その一点だけだというのに。――君もあの男にはせいぜい気をつけることだね、ウェイ。あれはいつか僕らを死地に追いこむ」
 ウェイは眉間に皺を寄せる。
(難攻不落のアルカトラズ監獄から、フレデリック兄弟を脱獄させた立役者か。だとしたら、たしかに警戒しておいたほうが賢明だ)
 ふいに、運転手がウェイを振りかえった。
 距離的に、いまの会話を聞かれたということはないだろう。ウェイはそのまま運転手を観察した。サングラス越しだ、目が合っていることなど相手は確信できない。
「……というわけでえ、我らが中古屋ちゃんたちが、第三裏通りに『敗北宣言』をしてから一晩が経過したわけだが!」
 ガイとの会話の間に、なにごとかをファミリーに語りつづけていたビューティが、パンッと手をたたいた。
「この変態スーツが、求人情報のチラシを各所にばらまいてくれた結果……ヘイッ、ジョニー!」
 傍らのジョニーは「へいへい」といいながら、膝に乗せた端末を操る。
 虚空に、ホログラム映像が投射された。
 第三裏通りの光景だ。瓦礫の山と化した目抜き通りの一角に、武装したファミリーが「フレデリック・ファミリーの仲間になりたい方はコチラ!」と書かれたプラカードを持って立っている。
 長い行列ができていた。裏通りの住民たちだ。誰もが不安な顔をしている。
 行列の先には長机が置かれ、疲れきった顔のエニグマが住民たちになにかを配っていた。「お仲間ステッカー」と、トイレットペーパー二巻きである。
「第三裏通りの下層に住む住民たちの大半は、明日には俺らの『仲間』となってるだろう。おい、おまえら、お仲間ステッカーを貼ってる住民は絶対に攻撃すんなよ! ちゃあんと優遇するんだ。そしたら住民たちも、俺たちに逆らっていたことがどれだけ馬鹿げたことだったか、よーく理解するからなあ! ガハハッ」
 ビューティが叫ぶと、ファミリーが一斉に「了解です、ビューティさん!」と叫びかえした。中古屋と武器商人がファミリーの勢いにビクッと体を震わせる。
「まあ、それは別にどうでもいいんだわ。ヘイッ、ジョニー!」
「……そのノリ、うぜぇ」
 仏頂面でジョニーが画面を切り替える。
 次に現れたのは、第三裏通りの積層地図だった。複雑に入り組んだ違法建造物の集合体が、驚くほど精密に再現されている。
「この地図は、そこに突っ立ってる変態スーツが作成したもんだ。一般の住民が知らない隠し通路のたぐいも、把握できるかぎりすべて記載されている」
 ファミリーが歓声をあげ、傍らのガイが舌打ちした。
「あの変態盗人ストーカーめ。地獄に落ちろ。僕とミッキーの秘密のデートコースまで晒すなんて」
 ウェイはガイの悪態を聞き流しながら、感心して積層地図を眺めた。
 第三裏通りは、住民が勝手につくった通路や、建物を上へと重ねるうちに偶発的にできた路地などが、幾百、幾千と存在していると言われている。
 ウェイもいくつか知ってはいるが、実際に地図で見ると想像以上の数だ。
(そういえば、アニーの酒場でガイと会ったとき、妙なことが起きたな)
 ガイが「ちょっとトイレ」とアニーに小銭を渡し、酒場の隅にあるドアを開けて入っていった。いつまで経っても出てこないことを訝しんだ運転手がドアを開けると、そこにあったのはトイレではなく、掃除道具が密に詰まった狭いロッカーだった。
 ガイの様子からして、多分、ロッカーの壁が隠し扉になっていて、どこかの路地につながっていたのだろう。
(知らなかった)
 馴染みの酒場にまさか隠し通路があったとは。アニーもよく平然と隠していたものだ。
「さあて、てめぇらにはこの地図を使って、ある仕事をしてもらう!」
 ビューティが叫び、ジョニーがそれを引き継ぐ。
「第三裏通りの上層を支配するギャングのもとに”挨拶回り”に行ってほしいんだわ」
 倉庫内が一瞬、沈黙した。
 それはすぐさま、ざわめきに取ってかわる。
「中古屋は、実質的に壊滅。俺たちの計画はいよいよ次の段階に進む。それにはギャングへの挨拶回りが必要不可欠だ。対象は、アレクセイ・ファミリー、龍海幇、ヨムチャイ商会の三大組織――」
 正気か。ウェイは全身に鳥肌がたつのを感じた。


 賭博と麻薬、人身売買によって巨財を成したロシアン・マフィア――アレクセイ・ファミリー。
 アメリカが国家であった時代から黒社会を形成してきた中華系組織――龍海幇ロンハイ・バン
 表世界の住民権と、人造臓器を不法売買するタイ系ギャング――ヨムチャイ商会。
 これに「フレデリック・ファミリー」、「ローガン・ストリップ劇場」の二組織を加えたものを、表世界の人間たちは「五大犯罪組織」と呼んでいる。


 正直、フレデリック・ファミリーも、ローガン・ストリップ劇場も、ほかの三大組織に比べれば小物だ。フレデリック・ファミリーがどれほど横暴に振る舞おうと、彼らが我関せずを貫いた理由については、諸説ある。
 ひとつは、フレデリック・ファミリーを恐れたため。
 ひとつは、フレデリック・ファミリーが三大組織にはいっさい手を出さず、暗黙のうちに「不戦条約」が結ばれたため。
 ひとつは、三大組織にとって、フレデリック・ファミリーは所詮小物にすぎず、相手をしてやるほど脅威に感じなかったため。
 かつて中古屋は、彼らを味方につけようと奔走したことがあった。だが、結局、組織の幹部の居場所を把握することすらできなかった。
「組織の幹部がどこにいるかは、だいたい把握している」
 ウェイだけでなく、隅にいる中古屋たちも息を飲み、ジョニーを見つめる。
「そこでこの地図が必要になるわけだが、まあ、具体的な話はあとにして……中古屋! ”挨拶回り”にはお前らに行ってもらうことにした」
 ジョニーは身を強張らせる中古屋をじっくり眺め、凶悪に笑った。
「俺はてめぇらを信じない。だが、もしこの任務を成し遂げ、無事に帰還したなら、お前らを正式に仲間として認めよう。ああ、ちなみに『怖いから嫌でしゅ』なんてぬかしやがったら……」
 撃鉄が一斉におろされる音がした。
 三十人を超えるフレデリック・ファミリー全員の構えた改造銃が、わずか数人ばかりの中古屋に向けられた。
「わかるよな?」
 ジョニーは薄笑い、手をあげる。
 それを合図にファミリーは銃を下ろした。
「案内役には、運転手とガイをつける」
 ガイは顔を上げ、ジョニーを食い入るように見つめた。
「――僕が?」
「そうだ。たまには仕事をしろ。隣にいるそいつのせいで、ファミリーのお前への信頼度が下がってる。ちょっとは使えるところを示して、信頼を回復するんだな」
「”使える”だって? この僕を運転手と同じ道具扱いする気か、ジョニー」
「正直、使える度合いで言ったら、運転手のほうが百倍マシだぜ、ガイ」
 ガイの激烈な怒りが伝わってくる気がして、ウェイはひやりとする。
 だが、ジョニーは隣に座るビューティの方が気になるらしい、長兄に伺うような視線を向けながら続けた。
「これ以上、兄貴を怒らせるな。ともかく、隠し通路の構造を正確に理解しているのは、お前と運転手だけなんだ。あとでキャンディでも買ってやるから、バイト感覚で働いてこい」
 キャンディというジョニーの台詞に、運転手が鼻で笑った。
 ガイが運転手を振りかえった。運転手は笑みを消し、不敵に視線を受けとめる。
「いい加減にしろよな。同じ志を持った者同士、ちったぁ仲良くしろ」
「志」
 ガイははっきりと冷笑と分かる笑みを唇に宿し、ジョニーを見据えた。
「僕の志とやらがなんなのかも知らないくせに、よくもその薄気味悪い運転手と同じ志を持っているなどと愚弄したな。ジョニー」
「愚弄だと? いい加減、俺も我慢の限界だぞ、マイケル。兄に対してその口の利き方は認めねえ!」
 倉庫内が張りつめた空気に包まれた、そのときだった。


『ほ、ほ、ほ! なんじゃなんじゃ、兄弟喧嘩か、珍しいこともあったものじゃのーう!』


 突然、高らかな哄笑が響きわたった。
 フレデリック兄弟、ファミリーが間髪を入れず、一斉に武器を構える。
 だが、銃口を向ける先が分からない。倉庫内に自分たち以外の姿はなく、武器の向く先が右往左往する。
 ――そっちじゃない。上だ。
 ウェイはひとり、鋭い目線をまっすぐに木箱の上空に向けた。
 虚空に投射された積層地図。それが突如、光の粒子となって弾けとんだ。粒子は中空でふたたび集合すると、白髭の老人の姿を形作る。
「な……なんだ!」
「撃て! 撃てぇ!」
 ファミリーがパニックに陥った。無数の銃口から放たれた弾丸は、しかしすべて老人をすり抜け、倉庫の壁に穴を穿つか、あるいは跳弾となってファミリー自身に返ってくる。血しぶきが舞った。ファミリーの数人が床に倒れる。ジョニーがやれやれと額に手を押し当て、ガイは不思議そうに首をかしげ、中古屋たちは顔を見合わせ、運転手が険しい顔をした。
「静まれえええええ!」
 泰然として状況を見守っていたビューティが声を張りあげた。倉庫がびりびりと震えるほどの怒号に、ファミリーは凍りつき、あとにはただ老人の笑い声だけが響きわたった。
『おうおう、脅かしちゃったようじゃのう! そんなに肝が小さいとは思っておらんかったのじゃ。……ぷぷぷっ、跳弾でヒトが死ぬとこ、初めて見たわい。アニメみたい。ぷぷぷっ』
 ぷかぷかと空中に浮かんだ矮躯の老人は、腹を抱えて笑い転げる。実体ではない。ただの映像だ。
 ウェイは緊張を隠して、老人の一挙一動を見守る。
 片腕を失い、生死の境をさまよった数日のことが、脳裏にまざまざとよみがえった。


 ――わしは、情報屋クグカ。借りを返すために、おぬしを助けにきた。
 ――まずは体の回復に努めるがよい。助けるといっても、おぬしが動けない限りは助け出せん。


「なにか用か、ご老体。いま、会議中なんだがなあ」
 ビューティが鼻をほじりながら問う。
 クグカは笑うのをやめ、くるくると回転しながら木箱まで下りてくると、古の華人らしく合掌礼を取った。
『邪魔をしたな、頭領殿。わしは龍海幇の頭目クグカ。所用にて参上したところ、ちょうどわしらの話が出たようだったのでな、姿をさらしてみた』
 ビューティは目を丸め、ウェイもまた驚きに息を飲んだ。
「クグカってのは……金物街の情報屋の名だった気がするんだが」
『いかにも。わしは情報屋クグカとしても活動しておる。知っていてくれて嬉しいのう!』
 倉庫内は騒然となった。血まみれで這いずる仲間を助け起こすことも忘れ、ファミリーは呆然とする。
 ジョニーは蜘蛛のタトゥが施された目を細めた。
「龍海幇の頭目は、ファンホンという女だったはずだ」
『ファンホンは死んだ。遺言により、わしが頭目の座についた。一年前のことじゃ』
 簡潔に答え、クグカは皺くちゃの手で髭を撫でおろす。
『龍海幇はおぬしらのことを、ずーっと放っておいた。わしらの組織は「幇」に属する華人を守るためだけに存在しておる。もしおぬしらが、同胞の住む中華街に手を出す気なら、容赦せんつもりでおったが』
「手を出したことはない」とジョニー。
『うむ。前回はの。じゃが、今回は違う。最近、おぬしらの配下が中華街を襲撃した。華人が十三人も死んだぞ』
 ジョニーは眉をしかめ、ファミリーを振りかえる。ファミリーの幾人かが「連中が先に手出ししてきたんだ!」とあわてて両手をあげた。
「……そりゃあ、こっちの不手際だった。しっかりとしつけとくから勘弁してくれや」
 ビューティが低く言うと、クグカは笑った。
『しつけてどうにかなるもんかのう? 前回に比べて、今のおぬしらは烏合の衆にしか見えん。早いところ、マザーを再構築したほうがいいのではないかのう?』
 クグカがちらりと倉庫の隅に置かれた巨大な機械に目を向ける。
 マザーU。いまだに起動には至っていない、マザーにかわる新たな人工知能。
「なにか要求があるのか、クグカ」
 話を早々に打ち切るジョニーに対し、クグカは髭を両手で握りしめて、もじもじとした。
『それがのう、わし、おぬしらに中華街まで謝罪に来いって言うつもりでの? それで来たのじゃ。でも、おぬしらはわしが言うより前からこっちに来るつもりでいたようじゃから……もう用なしじゃ!』
 そう言いながら、クグカは唐突に両手を勢いよく広げた。
『強いて言うなら、手土産の持参を要求する! わしがこれから言う土産を持って、三日のうちに中華街まで来るのじゃ。そうでなければ、今後、龍海幇はフレデリック・ファミリーを末代まで続く宿縁の敵と見なし、全面抗争へと舵を切る』
 クグカは指を一本たてると、倉庫内を横一線に払った。
『手みやげは、五番街の近くにある『浪花』の天ぷらと釜飯を三十人前! 第一裏通りの『順園川菜館』の二鍋頭酒を六本! 月餅も所望したいが、最近、あんまりおいしい月餅が売ってなくてのう……』
「ふざけやがって!」
「爺、なめんなよ!」
 ファミリーががなり立てるが、ビューティが手をあげてそれを止める。
「三日のうち、だな?」
『うむ。五分くらいなら遅れてもいいぞ。うーん、優しいわし』
 クグカはきゃっきゃっと笑い、くるりとふたたび回転する。
 その一瞬、老人の長い眉の下から覗いた目がウェイを捕らえた。
 ウェイ自身にしか分からないほどの、コンマ秒にも満たない時間。言葉を必要としない会話が交わされる。


 ――お前が来い。


 クグカの声なき命令に、ウェイは目を細める。
 老人の体が無数の光の粒となって弾け、霧散する。
 ウェイは太ももの脇で拳を握りしめ、消えてゆくそれらをサングラス越しに見つめた。
「兄貴。あの野郎、俺たちの隠れ家を把握してやがった」
 ジョニーが憎々しげに言うと、ビューティは太い足を楽しげに組んで頬杖をついた。
「ふざけたクソ爺だ、気に入った! そもそも礼を欠いたのはこっちだ、土産をたっぷりと用意して要求に従うとしよう」
「本気か?」
「どのみち挨拶に行くつもりだったんだ。アポをとる手間が省けたぜえ。さて……問題は、中古屋の人選だが」
 ウェイは身を強ばらせ、ビューティの視線に注意を向ける。
「テッド。お前、どうだ? 俺様に忠義を示すいい機会だぜ」
 微動だにせずに成り行きを見つめていたテッドは顔を上げる。
 ウェイはテッドを振りかえった。テッドは無表情にビューティを見つめ、口を開いた。








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